日中韓Photo Communication in Kyoto
「東アジア文化都市2017京都」日中韓交流事業として,京都写真家協会※と東アジア文化都市2017京都実行委員会との共催により写真展「日中韓Photo Communication in Kyoto 第47回京都写真家協会展」を開催しました。
京都写真家協会会員に加え,中国・長沙市,韓国・大邱広域市の各都市の写真家 計62人から83点の作品を出展いただきました。
同写真展の開催期間と合わせて,10月27日(金)から30日(月)まで長沙市・大邱広域市から出品作家ら訪問団計14名をお迎えし,日中韓写真家交流事業「日中韓Photo Communication in Kyoto」を実施しました。
初日の合同写真ツアーでは,伏見の酒蔵エリア,鴨川~祇園界隈へ。 月桂冠大倉記念館では,試飲コーナーで,早速京都の地酒を堪能されていました。

伏見酒蔵付近
夕暮れ間近の鴨川では,清らかな川の流れに沿って,等間隔に腰掛けるカップルらを,四条大橋の上から興味深そうに写真に収めていました。
祇園界隈の散策では,軒先にかかるのれんや祇園祭のちまき,お茶屋さんに提げられている「笑門」の注連縄,細長い路地などに足を止めシャッターを切っていらっしゃいました。 京都の人にとって何気ない日常風景が,彼らにとっては非日常の風景。「やっぱりそのポイントですよねー」「え,そのポイントを狙いますか?!」というような,撮影についての発見を相互に繰り返しつつ,市街散策撮影ツアーを楽しんでいただきました。
2日目
まずは,写真展の会場である京都府立文化芸術会館へ。
門川市長も来訪され,中韓の出展者から,おのおのの作品について,解説を行っていただきました。
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その後,再び撮影ツアーへ。
8月から9月にかけて,大邱で開催された写真展に,京都写真家協会の木村会長が出品された,愛宕念仏寺の羅漢像
を是非生で見てみたい!というリクエストが事前にあったことから,愛宕念仏寺を訪問しました。
訪問を熱望した,大邱写真家メンバーの中に,羅漢像を長年研究されている方がいらっしゃり,その方が今回京都での
写真展に出展された羅漢像の作品は,撮影に20年の歳月を費やしたというお話をお聞きし,大変驚きました。
台風の影響で,あいにくの雨模様でしたが,
「雨の日は,晴れの日と異なる情景・表情の写真が撮れる。レンズに付く水滴も,一つの演出。」と言いながら撮影され
る方,「最高の場所だ。いつまでもここに滞在できる。本当に素晴らしい場所!」と興奮しながら撮影を続ける方など,
いらしゃいました。
1000体以上の中から,カメラを手に持つ羅漢像を発見して,皆さんとても喜んで いらっしゃいました!

愛宕念仏寺の羅漢像

カメラを持つ羅漢像もいました
夜は,京都写真家協会主催の懇親会が開催され、京都のメンバーが写真展に出品した写真と同一人物の舞妓さん
が登場!皆さん大興奮の夜でした。
3日目
この日は岡崎界隈を巡るツアーということで,地下鉄を利用し,南禅寺からスタート。
石川五右衛門,空、無相、無作などの説明をしながら三門を見学いただきました。

南禅寺三門
その後,徒歩で水路閣,無鄰菴をまわり、小雨にならないかと待てども待てども雨は小降りにならず,どしゃぶりの中,
平安神宮の境内と神苑を見学いただきました。

水路閣にて

無鄰菴にて
夜は,出展作品についての意見交換会を開催しました。
写真家が一人ずつ,各自の写真について説明。
「会話しているお隣同士の家の女性は,まもなく取り壊される家から新しいマンションへの転居にわくわくしながら話を
しているところ。会話の光景は,演出ではなく,偶然に撮影されたもの。」など,作品の背景や裏話などのエピソードを
御披露いただくカメラマンもいらっしゃいました。
「実はスマートフォンで撮影した作品なんです」という中国の写真家の方がいらっしゃり,そこからスマホによる撮影の
可能性や是非についての論議も。 またフォトショップ等による写真加工についての論議もあり,賛成,反対など,それぞれの作家の意見が交わされた,
有意義な場となりました。

間もなく引っ越し予定の隣人同士の会話風景

スマートフォンでの撮影による作品

写真加工に関する問題提起を行った,クォン大邱写真作家協会会長

撮影に20年の歳月を費やしたという羅漢像の作品
4日目
ついに最終日。フライト時間の関係もあり,長沙と大邱の皆さんはそれぞれ別行動。
長沙の皆さんは伏見稲荷を視察。台風一過でようやく晴れの天候の中撮影でした。観光客の多さに圧倒
されながら,真っ赤な千本鳥居や鳥居形の絵馬に興味をもたれ,撮影の場を離れませんでした。その後空港へ。
また大邱の皆さんは,天龍寺や竹林をはじめとする嵐山界隈を散策いただきながらの撮影ツアーを楽しんでい
ただきました。

伏見稲荷 千本鳥居を撮影
今回の写真家交流事業を通じて,写真展では,各国・各都市の誇る文化,芸術,自然の特性と,その底流にある共通した東アジアの文化基盤を確かめ合える機会となったように思います。
また,合同撮影ツアーや意見交換会を通して,国を超えて「写真」を愛する芸術家同士が親交を深め,新たな東アジアの写真家ネットワークが生まれる機会となりました。
※ 京都写真家協会
全国初の地域プロ写真家団体として、京滋のコマーシャルフォトに携わる写真家45名により、1970年11月10日創立。以後写真家のネットワークを活用して国際交流や公共的な行事にも積極的に参加。現在も世界的文化遺産たる古都の風景などの撮影を通じ、地方文化の発展、発信に貢献している。創立の趣旨を尊重しながら、プロ、アマチュアの枠にこだわらず交流を広げ、京都を中心とした写真文化に寄与するため、時代の変化に対応した活動を展開している。
京都写真家協会HP
http://www.kps.gr.jp/