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大邱から広がる、学生演劇祭のこれから

このページでは、東アジアの相互理解につながる活動をされている方に、日々の取り組みやその活動にこめた想いについてコラムをご寄稿いただいています。
今回は、全国学生演劇祭実行委員会 事務局の沢大洋(さわ たいよう)さんです。

2017年6月、全国学生演劇祭は京都の3つの劇団とともに、東アジア文化都市2017の交流事業として、大邱で開催された大韓民国演劇祭と演劇交流プログラムに参加しました。

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 2011年2月、京都学生演劇祭が始まった。私は学生ではなかったが、知り合いの学生に声をかけ実行委員会を結成し演劇祭を行った。その頃、私は演劇に関してほとんど役者しかやったことがなかったから手探りもいいところで、学生に頼りっぱなし。それでもなんとか開催にこぎつけた。学生自身が、集う場を強く求めていたからだろう。当時、若手小劇場劇団の登竜門的存在となっていたART COMPLEX 1928を会場として。ものすごい達成感があった。

 学生演劇祭は上演時間45分で連続上演を行う、ショーケース形式の企画。様々に制約もあるが、次第にこのスタイルが京都の枠を超えて日本各地に広がっていった。地域によって運営体制は様々だが、大人のサポートはありつつ、ほとんどの演劇祭は学生自身の手によって運営されている。
 京都学生演劇祭も、2、3年前までは私も運営にガッツリと関わっていたが、学生自身が場を作り引き継いでいくことに意味があると考え、関わり方を少しずつ変えている。

1回目の京都学生演劇祭の閉会式

1回目の京都学生演劇祭の閉会式

 

 どんどん輪が広がっていく中で、海外公演を意識するきっかけはあった。
 2014年5月、30歳にして初の海外。元々同じ劇団で活動していた中国・上海の友人に会いに。劇場へ立ち寄る機会を得たが、そこでたまたま上海市の学生演劇祭をやっていた。奇跡だと思った。一気にイメージが膨らんだ。学生が国境を越え、演劇を通して出会うことができたらどれだけおもしろいことか。学生演劇祭のその先のビジョン、ひとつ大きな目標が生まれた。
 ただ、そこで上海の学生演劇祭と関わりを持つことはできなかった。満席で観劇できず、関係者との接触もできなかった。次の年も接触を試み、通訳を通じてメールを送り実際に現地にも足を運んだが、その年も収穫を得ることができなかった。海外と繋がりを持つ難しさを味わった。

上海の学生演劇祭のチラシ

上海の学生演劇祭のチラシ

 今回、京都市よりお声がけいただき、その目標を叶えるチャンスをいただいた。自分たちの力だけでは、10年は先のことになっていたのではないかと思う。
 どの団体を送り込むべきかはかなり考えたが、学生演劇祭でやってきた複数の作品を観劇できるスタイルにしたいと考えた。そしてこのまたとない機会、なるべく多くの学生に生身で体感して欲しかった。オファーをし、どの団体もほぼ即決だったと記憶している。その勢いそのままに、3つの団体がそれぞれのスタンスで海外で上演することの意味を考え、上演を成し遂げた。
 若者の自由な発想が、大邱の人たちに受け入れられた。観客の反応、そして上演した若者たちの目の輝きは素晴らしかった。大邱演劇協会の金会長からは「50年後もこの関係を続けていきたい」と熱い言葉をいただいた。私もそうしたいと思った。

 そして、韓国・大邱の学生劇団の作品を観劇し交流する機会もいただいた。対象となったのは啓明大學校の劇藝術硏究會。以前韓国では芸大が5校程度だったのが、ここ20年で70校にまで増えているそうだ。金会長からは伝統あるこの学生劇団を紹介していただいた。
 日本で行なっている学生演劇祭では、芸術系の大学からの参加も歓迎しているが、それ以外からの参加も歓迎している。様々な文脈から多種多様な表現が集まる場を作りたいと考えていて、金会長の計らいはそれを察してのことだ。啓明大學校の劇藝術硏究會は、大邱との交流継続の起点となっていくだろう。

大邱空港での集合写真

大邱空港での集合写真

 

 この機会を与えていただいた京都市、大邱の方々に感謝を申し上げます。大邱での日々から一ヶ月が経った現在、学生とともに日韓学生の文化交流を継続させるための準備会を結成し、関係継続に向け動き出しています。
 これから先、与えていただいたこの大きなきっかけを、より意味あるものに必ずや育てていく所存です。

大韓民国演劇祭in大邱(学生演劇の交流)のイベントレポートはこちら

Profile

沢 大洋

沢 大洋

全国学生演劇祭実行委員会 事務局

1983年島根県隠岐島生まれ。 2011年、学生劇団の上演が集まる京都学生演劇祭の立ち上げを行う。その後、日本各地に同じ形式の学生演劇祭が広まる。2015年、全国9箇所に広がった学生演劇祭の代表団体が集う”全国学生演劇祭”の発起人となり、京都で演劇祭を開催する。 また2011年からNPO劇研に所属し、俳優育成のための事業(劇研アクターズラボ)や、文化芸術を通したまちづくり(左京西部・東部いきいき市民活動センターにて)にも関わる。 2017年、東アジア文化都市2017の事業として、大韓民国演劇祭in大邱に学生劇団を3団体紹介し、自らもコーディネーターとして参加。 2018年2月には、第3回全国学生演劇祭(会場:ロームシアター京都)が開催予定となる。
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