大韓民国演劇祭in大邱 レポート②

Profile
神田真直
劇団なかゆび
2017年6月2日~20日にかけて大邱広域市で開催された「第2回大韓民国演劇祭in大邱」に,東アジア文化都市2017の交流プログラムとして参加した劇団の代表者のレポートです。
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大韓民国演劇祭in大邱に参加して
6月14日~18日、我々劇団なかゆびは、幻灯劇場・劇団西一風とともに、韓国へ旅立った。幻灯劇場と劇団西一風は舞台道具として多くの荷物を持ち込んでいたが、我々はというと、大変少ない荷物であった。ブリキのバケツと三度笠、そして一人分の衣装。初めての海外公演ということで、小生は手の込んだ空間演出は避け、少ない荷物で移動できるよう工夫したのである。その結果として、現地では円滑にリハーサルを進めることができた 。もちろん、何一つトラブルに見舞われなかったというわけではない。しかし、想定できない事態に柔軟に応じることができたのは、事前に想定できる限りのことは想定して対策をしておくという動きがあってこそのものであったと振り返ることができるだろう。
上演は成功に終わった。それでは、何を以て「成功」とするのか。観客の動員については、正直、日本側ではフォローしていない。ただどの日程も動員は満足のいくものであったと報告することができる。成功の根拠には、多くの大邱演劇関係者から直接賞賛の声を浴びたことがあげられる。さらに、戯曲で取り上げられていた韓国の国民的詩人尹東柱の詩を韓国語で読む際に発音を現地の学生から聞いたこと、そして戯曲中の和歌の一部を現地の学生と現場にで協力して翻訳してもらったことは、日韓共同製作と考えることができる上、これはまさに異文化交流そのものであると言え、今回の交流事業の最大の成果であろう。また、今後も積極的に京都・大邱間で文化交流を進めていこうという機運も、多くの場面で高まったように思える。リハーサル中にも、大邱の学生から直接、「この戯曲を韓国で韓国人の手によって上演したい」というお話も伺うことができた。
大韓民国演劇祭in大邱(学生演劇の交流)